ナ・LIVEとは?

『もいち堂』オーナー  乾昌弘 氏 インタビュー

ナ・LIVEには無くてはならない、会場「もいち堂」。
そのオーナー 株式会社明新社 代表取締役 乾昌弘氏。
旧印刷工場はいかにして
今の「新しい奈良の文化を発信する」空間に進化したのか。
貴重な「もいち堂」ストーリーと、
乾氏の「奈良の活性化」への想いをお伺いした。

【2010年放送 ならどっとFM「ナ・LIVEちょっと前へ」より】

はじめの一歩は…

ナ・LIVE実行委員(以下ナ):なぜ旧明新社工場を私たちが使わせて頂けるようになったのでしょう?

乾昌弘オーナー(以下乾):元々あそこはうちの会社(株式会社明新社)の印刷工場で、立て替えて鉄筋コンクリートの工場になっているんだけど、平成元年に南京終の方に工場も本社も移したので、その工場は全く使わなくなったんですね。印刷会社ですから在庫で預かっている商品とかの保管のための倉庫とし、半分は不要品などを山ほど積んでたりと、そんなことになってて、そこから平成元年から今日まで約22年間そのままの状態だったと。

ナ:その倉庫代わりに使われていた場所で、いま我々が芝居で使わせて頂いていると。いきなりそうなった訳ではないですよね?

乾:そのまま倉庫として使ってゆくのはもったいないので、何か有効活用出来ないかなとは前から思っていて、色々思案していたのだけど、ある時に某ホテルの方が「ここにビジネスホテルを建てさせてもらえもらえないか」とか、あるいは某不動産会社の方が「ウィークリーマンションを建てさせてもらえないか」とかそんな話しがあってね。貸すのか売るのか、そうなればいずれにせよ楽ですね。そう思ったんだけど、でも何か違うよなと。そんなことで折角立地もよく、─だからそうゆうお話しも頂くわけだけど─せっかくこういう工場も建てて残しているのだから、何か別の形で使いたいなと思っていて。
で、芝居がちょうどブーム。奈良県内で3箇所芝居小屋があってね。高田と榛原と御所かな?

ナ:大衆演劇ですね。

乾:そう、いわゆる大衆演劇。それが奈良市内にないので、「奈良市内に芝居小屋つくったら、面白いのではないか」と思って。実はその方向でだいぶ進めました。新世界の通天閣辺りの芝居小屋や、その他の小屋、もちろん奈良県内のも見にいって、どんな状況でやっているのかなとか。劇団の興行主さんもおられるので、その方を紹介してもらって何回も会いに行って。

ナ:(奈良の芝居小屋は)出来た頃からなかなか席が取れないという話しを聞きますが。

乾:そうですね。もちろん一座にもよりますが、全然席が取れないこともあるし。僕も知らなかったんだけど、2週間とか1ヶ月とか、朝昼二回ずつやる公演のなかで、大きなストーリーは変えないけど絶対同じ演出はしない。何回見に行ってもいつも違う、だからリピーターが沢山いて…。時事ネタみたいなのをどんどん入れるわけです。それは面白いなと思って、だいぶ本格的にその方向へ進んでたんですがね、でもどうしても乗り越えられない障害があって断念しました。

模索から出会い

ナ:で、我々が?

乾:いえ、まだ間があって、その次は劇場にしようと思ったんですよ。いわゆる普通のライブも落語も映画もできるみたいな。そのときに映画館を廃業された方がおられて、映画館の椅子を100席以上譲り受けました。ステージつくって映画館の椅子並べて、そうゆう劇場にしようと。これもだいぶ進めたんですよ。ちょうどその頃に、国の中心市街地活性化という事業があって、もちいどのセンター街もそこの中に入っていて、僕がこうゆうことをしようとしているのをどこかで聞いて、「一緒にこの活性化事業の中に入ってやってみては」と声をかけられ入れてもらったんです。それは国が中心市街地を活性化するために、いわゆる事業補助をしてくれるという制度なので、やはり補助して頂けたらありがたい、その申請をして劇場にしようと。これもだいぶ進めたんですよ。でも国の方もいいかげんなお金は当然出せないので、ものすごい事業計画書と事業予算書を何回も何回もやりなおして出したんです。2年間くらいやりとりしたかな。いよいよ計画も予算も煮詰まってきて、たぶん大丈夫ですというところまできたんです。そしたら僕らの方で、当初テナントで入ってもらうというつもりでいた相手が二年の間にリーマンショックとか色々あって、どこも入ってくれるところが無くなってしまって。そうすると補助を頂いてもテナントが入らないと言うことになったら、計画通り進まないとなるので、まだ活性化事業には入れて頂いてますが、申請は見送ったんです。一旦ゼロベースから考え直そうと思いました。

その時の構想は今の工場の一階が劇場で、二階が飲食店のテナントで、じつはもちいどの側の木造住宅は二階は僕ら家族が住んでいるんですよね。そこもテナントで貸しちゃって、一階の事務所になっていたところは直営の店舗にしようと。当時は実はそこで駄菓子屋をやろうと。あちこちにある駄菓子を集めるだけじゃなくて、「奈良駄菓子」というのをオリジナルでつくって…ゴロがいいでしょ?奈良駄菓子って。(笑)駄菓子屋さんの卸屋さんやメーカーさんとも話しをして、これもだいぶ進めたんですよ。でも今言ったみたいなテナントが入らないようになったんで諦めた。だけどたまたまその後で、せんとくんやマント君を一階の事務所シャッターに描いたら、それが噂に噂を呼んだんで、「奈良駄菓子」がせんとくん等のグッズを扱う「奈良クターショップ 絵図屋」になったと。方向は変わったけど、そこだけは生き残って、あとは全部見送っていました。
そのちょうど手前の時期にカムカムミニキーナの松村さんを紹介して頂いて、場所を見てもらったら、「いやあ、この場所は面白いよ」と言って下さって、「ほんまかいな?この場所がどう面白いんかいな?」と思ってたんだけど、いたく気に入って頂いて。僕が「ここにステージ作って、映画館の椅子並べて…」と言ったら、「いや、それはしないで欲しい。フロアのまま、このまま残しておいて欲しい。演劇する側がこのスペースを自由に使えるようにしてもらいたい。椅子とかステージとか固定することはやめて欲しい。」と。なるほど、そうゆうものなのかなと思って、そのままにして。で、映画館の椅子は今でも埃を被ったまま。誰か買ってくれないだろうか、どなたか買って頂けませんか?(笑)と、言う状況で終わってたんです。

「もいち堂」誕生

ナ:で、出てきました、我々が。

乾:そう、やっと出てきた。(笑)で、いったん僕は諦めようと思ったんだけど、今のナ・LIVE実行委員会の人たちが「いや、ここはやっぱり面白い。使わせて欲しい」と言ってくれて。「でもこんな22年間不要品やまずみやし、倉庫みたいなこんな所大変や。」といったら、「全部掃除します。」といって頂いてね。もう、本当にすごい人海戦術やね。きれいにして頂いて。さらに「黒いペンキ塗らせて頂いていいですか?」と言われて、最初どうなんねんやろと思ってましたが、もしあかんかってもまたいずれ改装するときに全部やりなおしたらいいやと思って「いいよ。」と。で、塗ってみたらなんか感じがいいんやね。ものすごい良い雰囲気になって、「じゃあ、いっそのこと全部塗っちゃいましょう」と。ナ・LIVE参加者に掃除やペンキを塗ってもらって、ものすごい面白い空間に見えてきたんで、僕もエアコンつけたり、そのついでに業者さんに大っきいカウンター頼んだり、「ここまできたなら僕も遊ぼう!」と思って、カウンターにバーの椅子みたいなのを置いて、ワインクーラーや冷凍庫をおいたりして。なんかだんだんそういう手作り感でやってもらってることが、結果、いま面白い空間になってきて。

ナ:「もいち堂」は色んな使い方がありそうな、可能性を秘めている感じがしますね。今後いまの「もいち堂」がどんな場所になったら良いと思われますか?

乾:もともとホテルなどの話があったときに、「なんか違うな」と思ったのは、やっぱりこの場所から何か発信してゆきたいなと。僕もまがりなりにも地域活性化の色んな事をさせてもらってきたんで、せっかく自分でこうゆう場所をもってるんだから、集大成というと大げさかもしれないけど、新しい文化をどんどん発信してゆける、そんなスペースになったらなと思っているんだけど。

ナ:ナ・LIVEも「草芝居」という新しいことをさせてもらっているのですが、どこまで広がるかは別として、いま70名近く参加してもらってます。「面白い、楽しい。」と言ってくださってて、本当に少しづつですが、参加する方が増えていってるんで、私たちも何かそこで少しでも発信できたら。

乾:そうですね。そうやってやって頂いているおかげで、徐々に「あの場所が面白いで。」「もいち堂に行ったら面白いことやってるで。」みたいなことがね、ずっと広がっていけば、一番ありがたいと思いますね。



お問い合わせ: ナ・LIVE 実行委員会

E-mail:nalive2010☆yahoo.co.jp (←☆を@に変換してください)
TEL : 080-3852-4043